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2003.12.31

労基法の改正で「解雇紛争」はどう変わるか その3

改正法施行後に予想される、解雇紛争のシミュレーションの一例です。

 ある日、A君は突然社長から呼び出され、口頭で一ヶ月後に解雇する旨を告げられた。理由については具体的に示されなかった。

 社長は30日前に解雇通知をしたから、それでいいと思っている。

 A君は、すかさず社長に対して言った。「解雇される理由がわかりません。社長、解雇の理由について証明書を下さい!労基法で決められているから当然頂けますよね。」

 社長「???」

(実は、あまり労基法のことを知らないが、電話で監督署に照会すると法律で義務づけられ、渡さないと労働基準法違反になることがわかった。さっそくFAXで様式を送ってもらった。)

 社長「そうか。それならあとで書いて渡すわ。」と答えるが、その理由づけが後日問題となる。

 その後、社長から、なんとか「解雇理由証明書」をもらったA君。

 A君「社長!こんな理由では納得できません。解雇を撤回して下さいよ。」
 社長「30日前に言っているから、問題は無い!いまさら撤回などできるか。」

 と、かくして社長とA君との主張はぶつかり合い、平行線をたどることとなる。

 そこで、A君は相談に地元の労働基準監督署を訪れることとした。

 監督署に設けられている総合労働相談コーナーにて、その解雇理由証明書を総合労働相談員に見せた。

  総合労働相談コーナーの御案内 ※この相談コーナーは各県の主な監督署や労働局企画室などに設置されている。

相談員のアドバイスで、A君は、裁判まではいかないまでも労働局の「個別労働関係紛争の解決援助サービス」を利用することとし、あっせんを求めた。A君は、さらに解決するまでの期間は、これまでなかなか使えなかった有給休暇を請求して取得し休むこととした。2年間の有給休暇が使えるので1ヶ月はゆうに休めた。

Excite エキサイト : ニュース 監督署で解雇紛争扱わず 厚労省、改正労基法で通達

 労働局のあっせんが行われ、弁護士や社会保険労務士のあっせん委員から、これまでの判例等からその解雇の経過、理由については問題があるのではないかとの指摘を受けた。あっせん委員は、社長に対して解雇の撤回を勧め、それが出来ない場合には金銭等の補償によるあっせん案が示された。

さすがに今回の解雇理由では、社長は分が悪いことを知り、このあっせん案にしぶしぶながらも応じざるを得なかった。労働基準監督署には是正勧告を受けたことがあり、労働局の指導を無視することは出来なかった。

加えて、会社の就業規則には「解雇事由」の記載も無かったし、労働契約締結時における「解雇の事由」の明示も示されていないようであった。これについても、法違反となることがわかり、これは労働基準監督署から直接是正指導を受けることになった。

社長は、これからは解雇する際には、じゅうぶんに注意しなければならないことをつくづく思い知ったのである。

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